北関東の企業が「採用広報」をゼロから立ち上げる方法
採用・選考

北関東の企業が「採用広報」をゼロから立ち上げる方法

#採用#経営参画

北関東の企業が「採用広報」をゼロから立ち上げる方法

「採用広報をやった方がいいのはわかるが、何から始めればいいのかわからない」——北関東の中小企業の人事担当者から、こうした声を聞くことが増えています。大手企業が採用ブランディングに力を入れ、SNSや動画で自社の魅力を発信している。それを見て「うちも何かしなければ」と感じるものの、具体的な一歩が踏み出せない。

私は、採用広報は中小企業でも始められると考えています。むしろ、中小企業の方が「リアルさ」を武器にできるという意味で、有利な面すらあります。大企業の洗練された広報とは違い、中小企業の等身大の姿を伝えることが、候補者の心に響く場合があるからです。

北関東の中小企業にとって、採用広報は「やらないと不利」な時代に入っています。求人票に条件を並べるだけでは、候補者の関心を引けなくなっています。候補者は、応募する前にその会社のことを調べます。検索しても情報が出てこない会社は、候補者にとって「見えない会社」です。

今回は、北関東の企業がゼロから採用広報を立ち上げるための具体的な方法を考えます。


採用広報とは何か

採用広報とは、「求職者に自社の魅力を伝え、応募したいと思ってもらうための情報発信活動」です。求人票の掲載とは異なり、より広い視野で、より多様な手段を使って、自社の存在と魅力を求職者に伝えていく活動です。

採用広報の目的は、以下の3つに整理できます。

目的1:認知の獲得。

そもそも自社の存在を知ってもらうこと。北関東の中小企業の多くは、求職者に社名を知られていない。知らない会社には応募できないため、まず「知ってもらう」ことが出発点です。

目的2:興味の喚起。

社名を知ってもらった後、「この会社、面白そうだ」「もっと知りたい」と思ってもらうこと。仕事の内容、社員の雰囲気、会社の目指す方向性——興味を引く情報を提供することで、候補者の関心を自社に向けます。

目的3:信頼の構築。

興味を持った候補者に、「この会社なら安心して応募できる」と思ってもらうこと。実際に働いている社員の声、経営者のメッセージ、会社の実績——信頼できる情報を提供することで、応募のハードルを下げます。


ゼロから始める採用広報の5ステップ

採用広報をゼロから立ち上げるための、実践的な5ステップを示します。

ステップ1:自社の「伝えるべき魅力」を整理する。

採用広報で最も重要なのは、「何を伝えるか」です。自社のどのような点が、候補者にとって魅力的に映るのかを整理します。

魅力を発見するために、以下のことを試してみてください。最近入社した社員に「なぜこの会社を選んだか」を聞く。長く勤めている社員に「この会社の良いところは何か」を聞く。社外の人(取引先、知人など)に「うちの会社の印象は?」と聞いてみる。

よくある魅力の例を挙げます。社長との距離が近く、意見が通りやすい。若いうちから責任のある仕事を任される。地域に密着した事業で、社会貢献を実感できる。ものづくりの技術に触れられる。社員同士の仲が良く、助け合う文化がある。残業が少なく、プライベートと両立しやすい。

魅力は「客観的な事実」と「社員の実感」の両方で表現すると効果的です。「残業月平均10時間」という事実と、「18時には帰宅して、子どもの夕食を一緒に食べている」という実感。両方を組み合わせることで、リアリティのある魅力が伝わります。

ステップ2:採用ページを充実させる。

自社のウェブサイトに採用ページがない企業は、まずそこから始めます。既に採用ページがある場合は、内容を充実させます。

採用ページに最低限掲載すべき情報は以下の通りです。

会社概要と事業内容(専門用語を避け、わかりやすく説明する)。社員インタビュー(最低2〜3人、異なる職種・年代の社員)。仕事内容の詳細(「営業職」だけでなく、具体的に何をするのかを説明する)。一日の業務の流れ。オフィスや工場の写真。代表メッセージ(会社の目指す方向性を語る)。募集要項。選考プロセス。

写真は特に重要です。プロのカメラマンに依頼するのが理想的ですが、スマートフォンで撮影した写真でも、明るさと構図に気をつければ十分に使えます。社員が笑顔で働いている様子、チームで話し合っている場面、製品や成果物——「ここで働くイメージ」が湧く写真を掲載します。

ステップ3:SNSで定期的に発信する。

採用広報の「入り口」として、SNSを活用します。企業アカウントを開設し、定期的に投稿する。

どのSNSを使うかは、ターゲットに合わせて選びます。Instagramは、写真や動画で視覚的に訴えるのに適しています。20代〜30代の候補者を狙う場合に有効です。Xは、テキスト中心の発信に適しています。業界の情報や会社の考え方を伝えるのに有効です。Facebookは、40代以上の候補者やビジネスパーソンへのリーチに適しています。

最初から複数のSNSを運用する必要はありません。1つのSNSに集中し、週2〜3回の投稿を継続する方が効果的です。

投稿内容の例を挙げます。社員の仕事紹介。社内イベントの様子。製品やサービスの紹介。職場環境の紹介。会社の日常風景。社長のメッセージ。新入社員の紹介。

ステップ4:社員を巻き込む。

採用広報は、人事担当者一人で行うものではありません。社員を巻き込むことで、より多彩で魅力的な情報発信が可能になります。

社員に協力してもらう方法としては、インタビューに応じてもらう。日常の業務風景の写真撮影に協力してもらう。自分の仕事のやりがいについてコメントをもらう。採用イベントに参加してもらう。

社員に協力を依頼する際は、「なぜ採用広報が必要なのか」を丁寧に説明することが大切です。「良い仲間を増やすために、会社の魅力を発信したい」——このメッセージに共感してもらえれば、自発的に協力してくれる社員が現れます。

ステップ5:効果を測定し、改善する。

採用広報の効果を定期的に測定し、改善していきます。測定すべき指標の例を挙げます。

採用ページのアクセス数。SNSのフォロワー数、投稿の閲覧数、反応数。応募者に「自社を知ったきっかけ」を聞いた結果。応募数の変化。

これらの指標を月次で確認し、「どの発信が効果的だったか」「どのチャネルからの応募が多いか」を分析する。効果が高い施策に注力し、効果が低い施策は見直す。

水戸市のある電子部品メーカー(従業員約80名)では、1年前に採用広報を始めました。「最初は、Instagramで工場の日常を投稿するだけ。社員が機械を操作している様子、お昼休みの風景、新製品のテスト——日常の風景をそのまま投稿した。特別なことは何もしていないが、『ものづくりの現場が見えて面白い』と反応をもらうようになった。今では、Instagramを見て応募してきたという候補者が月に数名いる」と人事担当者は話します。


採用広報のコンテンツの作り方

採用広報で最も悩むのは、「何を発信すればよいのか」です。コンテンツの作り方のコツを紹介します。

コツ1:候補者の「知りたい」に応える。

コンテンツは、「自社が伝えたいこと」ではなく、「候補者が知りたいこと」を起点に作成する。候補者が最も知りたいのは、「この会社で働いたらどうなるか」です。仕事の内容、職場の雰囲気、成長の機会、待遇——これらに関する具体的な情報を提供します。

コツ2:「リアルさ」を大切にする。

中小企業の採用広報の強みは、「リアルさ」です。大企業の洗練されたブランディングとは異なり、中小企業の等身大の姿を伝えることが、候補者の共感を呼びます。良い面だけでなく、「まだ完璧ではないが、こうした改善に取り組んでいる」「こうした課題があり、一緒に解決してくれる仲間を求めている」——正直な姿を見せることが信頼につながります。

コツ3:「ストーリー」で伝える。

条件や事実の羅列よりも、ストーリーの方が人の心に残ります。「この社員がどのような経緯で入社し、どのような仕事をし、どのように成長したか」——個人のストーリーを通じて、会社の魅力を伝える。

コツ4:定期的に更新する。

1年前の情報しか載っていない採用ページは、候補者に「この会社は採用に力を入れていない」という印象を与えます。新しいコンテンツを定期的に追加し、情報を最新の状態に保つ。


採用広報を継続するための体制づくり

採用広報で最も難しいのは、「継続すること」です。最初は意気込んで始めても、日常業務の忙しさの中で更新が止まってしまう——これが最も多い失敗パターンです。

継続するための体制づくりのポイントを挙げます。

ポイント1:担当者と役割を明確にする。

「誰が、何を、いつまでにやるか」を明確にする。兼務であっても、「毎週水曜日の午後2時間は採用広報の時間」のように、時間を確保する。

ポイント2:コンテンツカレンダーを作成する。

1ヶ月分の投稿内容を事前に計画する。「第1週:社員インタビュー」「第2週:職場紹介」「第3週:仕事の裏側」「第4週:会社のイベント」——テーマを決めておくことで、「何を投稿しよう」と毎回悩む手間を省けます。

ポイント3:ハードルを下げる。

完璧なコンテンツを求めない。プロの写真でなくてもいい。長文でなくてもいい。毎日投稿しなくてもいい。「週1回、スマートフォンで撮った写真と200文字のコメント」——このくらいのハードルから始めて、慣れてきたら質と量を上げていく。

ポイント4:経営者の理解と支援を得る。

採用広報の取り組みを経営者に理解してもらい、時間と予算を確保する。「採用広報に取り組むことで、応募数が増え、採用コストが下がる可能性がある」——経営者にとってのメリットを伝え、支援を得る。

前橋市のあるIT企業(従業員約40名)では、社員3名で「採用広報チーム」を編成しています。「人事担当者1名、エンジニア1名、営業1名で、月に1回ミーティングを行い、翌月の発信内容を決めている。エンジニアが技術的な内容を書き、営業がお客様との関わりを紹介し、人事が会社全体の情報をまとめる。役割を分担することで、一人の負担が軽くなり、コンテンツの幅も広がった」と人事担当者は話します。


採用広報の効果が出るまでの期間

最後に、現実的な期待値について述べます。採用広報は、始めてすぐに効果が出るものではありません。一般的に、効果が実感できるまでに6ヶ月から1年程度かかります。

最初の3ヶ月は「土台づくり」の期間です。採用ページの充実、SNSアカウントの開設、初期コンテンツの作成——まずは発信の基盤を整えます。

3ヶ月から6ヶ月は「浸透」の期間です。継続的な発信により、徐々にアクセス数やフォロワーが増えていきます。この期間に効果が見えないからといって諦めないことが重要です。

6ヶ月以降で、応募への影響が出始めます。「SNSを見て応募した」「ウェブサイトの社員インタビューを読んで興味を持った」——こうしたフィードバックが得られるようになります。

採用広報は、北関東の中小企業が採用力を高めるための有効な手段です。大きな予算をかけなくても、自社の魅力を言語化し、候補者に届ける努力を続ければ、必ず成果は現れます。ゼロからでも始められる——その一歩を、今日から踏み出していただきたいと思います。

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